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不動産
不動産の相続、こんなお悩みはありませんか?
お悩み:「男ばかりの三兄弟ですが、相続する遺産のほとんどが不動産で、公平な分割方法がわかりません。また土地の条件もバラバラで、相続しても扱いに困る農地なども含まれています。遺産分割協議もスムーズにまとまらず、どんどん時間が過ぎていきます」
不動産相続が難しい理由
理由その1:現金や預貯金に比べ均等に分割しにくい
土地や建物などの不動産相続が難しい第一の理由は、他の相続財産と比べて均等に分割しにくいためです。
例えば、被相続人(父)の配偶者(母)とその子2人が相続人で、相続財産は配偶者が被相続人と住んでいた自宅のみだったとします。
この場合、法定相続分は配偶者が遺産の1/2、子2人で1/2となりますが、配偶者が住んでいる自宅の扱いが問題になります。自宅を売却して金銭で分けると配偶者が生活する場がなくなりますが、だからといって自宅を配偶者と子2人で共有とすると、次回の相続で母から自宅を引き継ぐ際に、また問題が出る恐れがあります。
理由その2:評価が相続税と遺産分割で異なる
不動産相続の難しさは、そもそも評価が難しいということも関係しています。なぜなら相続税の申告納税における評価額と、遺産分割協議における評価額が異なることが珍しくないからです。
不動産は国税庁が定めた「財産評価基本通達」で評価され、土地は「路線価方式」もしくは「倍率方式」で評価し、家屋は固定資産税評価額をそのまま使用するというのが基本です。
ところが「財産評価基本通達」による評価額は通常、市場で取引される実勢価格より低くなることが多いのです。不動産がある地域や周辺環境などでも異なりますが、市場の実勢価格より2~3割ほど低いことも多々あります。
これが原因で不動産を相続する人と、不動産以外の財産を相続する人との間に不公平感が生まれ、遺産分割協議でもめて相続トラブルに発展する恐れもあります。
理由その3:不動産の評価そのものが難しい
土地は「路線価方式」もしくは「倍率方式」で評価した後、道路付け(敷地と前面道路との位置関係)などによって減額または加算されます。土地はひとつとして同じものはありませんから、相続税の評価にあたっては様々な事情が影響します。これらを適切に考慮するかどうかで相続税の評価、そして相続税額が変わってくるのです。
不動産相続の手続きと流れ
手続き1:不動産の相続を決める
不動産の相続にあたっては、まず遺言書の有無および内容を確認しましょう。遺言があれば「遺留分」を侵害しない限り、その内容にそって相続を行っていきます。遺言書がない場合は、遺産分割協議にて具体的な相続分を決めることになります。
手続き2:不動産の分割方法を決める
不動産の分割には4つの方法があります。
現物分割
特定の相続人が不動産を現物のまま相続する方法です。
メリット:手続きが簡単でわかりやすい、不動産を残せる、評価がいらない
デメリット:不公平になりやすい、他の相続人が納得しにくい、土地を分ける場合は不動産の価値が低下する恐れがある
代償分割
一部の相続人が不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法です。
メリット:遺産分割がスムーズに進みやすい、公平に分割できる、相続税が節税できるケースがある
デメリット:代償金の支払いにお金がかかる、代償金の算出でトラブルが起きる恐れがある、贈与税・所得税が発生する場合がある
換価分割
相続人の代表者、あるいは複数の相続人が共有で不動産を相続した後、売却して得た代金を相続人間で分割する方法です。
メリット:公平に分割できる、資金力が不安でも分割が可能、納税資金を用意できる、相続税が節税できるケースがある
デメリット:手間と経費がかかる、高く売れない恐れがある、所得税が発生する恐れがある
共有分割
複数の相続人が共有名義で不動産を相続する方法です。1つの不動産を共有名義で相続すると、個人の権限が大きく制限されて柔軟な対応が難しくなります。のちのちトラブルにつながる恐れが高いため、あまりおすすめできません。
メリット:遺産の分割が公平になる、売却時の利益に対する税金の控除を名義人の数だけ受け取れる
デメリット:相続が発生した際に所有者が増え複雑になる、名義人全員の承諾がなければ売却できない、売却するか貸し出すかで意見が割れるとトラブルになりやすい
手続き3:必要な書類の収集・作成
不動産を相続する場合、相続登記の手続を法務局で行う必要があります。そのため法務局に提出する必要書類を確認し、書類の作成や資料の収集を行います。
必要な書類は「遺言書がない場合」「遺言書と遺贈がある場合」「遺言書はあるが遺贈がない場合」によって違います。またこれらすべてにおいて必要な書類もあり、非常に複雑で手間がかかることが多いです。
共通して必要な書類
・登記申請書(登録免許税分の収入印紙を貼付)
※登記申請書を作成する際、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)も必要となります
・被相続人の死亡の記載がある戸籍等謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票(本籍地の記載があるもの)
・不動産を取得する相続人または受遺者の住民票
・不動産の固定資産評価証明書または固定資産税の納税通知書
・相続関係説明図
遺言書がない場合
【法定相続分どおりに登記する場合】
・被相続人の出生から死亡までの連続したすべての戸籍等謄本
・相続人全員の現在の戸籍謄本
【遺産分割協議により登記する場合】
・被相続人の出生から死亡までの連続したすべての戸籍等謄本
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
遺言書があり、遺贈がある場合
【遺言執行者の定めがある場合】
・登記済権利証または登記識別情報(不動産取得者が相続人ではない第三者である場合のみ必要であり、不動産取得者が相続人である場合には不要)
・遺言書(秘密証書遺言、法務局以外で保管されていた自筆証書遺言の場合は検認済証明書付きのもの)
・遺言執行者の印鑑証明書
・遺言執行者の選任審判書(遺言執行者が家庭裁判所によって選任されている場合のみ)
【遺言執行者の定めがない場合】
・被相続人の出生から死亡までの連続したすべての戸籍等謄本
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・登記済権利証または登記識別情報(不動産取得者が相続人ではない第三者である場合のみ必要であり、不動産取得者が相続人である場合には不要)
・遺言書(秘密証書遺言、法務局以外で保管されていた自筆証書遺言の場合は検認済証明書付きのもの)
遺言書があり、遺贈がない場合
・不動産を取得する相続人の現在の戸籍謄本
・遺言書(秘密証書遺言、法務局以外で保管されていた自筆証書遺言の場合は検認済証明書付きのもの)
手続き4:法務局に申請する
相続登記に必要な書類がすべて揃ったら、不動産の所在地を管轄する法務局にそれらの書類および登録免許税分の収入印紙を貼付した登記申請書を提出します。
書類の提出には法務局の窓口への持参、または郵送という方法があります。提出書類に不備がなければ1~2週間ほどで審査が完了し、「登記識別情報」という不動産の権利証に代わるものを窓口または郵送で受け取ります。これで相続登記の手続は完了です。
不動産の相続を弁護士に依頼するメリット
不動産の分割トラブルを解決できる
不動産相続ではさまざまな分割方法があり、ケースに応じて選択する必要があります。弁護士に相談すれば、最適な分割方法を選ぶことができます。
・現物分割
遺産そのものを現金に換えたりせず、現物のまま分ける方法のことです。相続人が遺産をそれぞれ受け取った時点で終了となるため、可能であれば最もわかりやすく簡単な方法といえます。
・代償分割
不動産をはじめ高価な資産を相続人の一人が相続した場合、その人が代償として他の相続人へ現金を支払う方法のことです。不動産を相続するケースで用いられることが多いです。
・換価分割
相続財産である不動産を売却して現金化し、その代金を相続人同士で分配する方法のことです。単純に相続するだけでは不公平になりやすいケースで用いられます。
・共有分割
相続される不動産を相続人共有の財産として扱う方法のことです。ただし現物分割・代償分割・換価分割が困難なケースのみ選択可能で、他と比べると利用頻度は少ない方法となっています。ただし後々にトラブルを起こしやすい方法であるため、あまりお勧めはできません。
相続人との交渉などを任せられる
弁護士は相続人との交渉対応にも対応できます。特に不動産のように大きな財産を相続するケースでは、親族間で揉めて協議がまとまらないことが珍しくありません。そこに、弁護士という第三者の視点が入ることで、遺産分割協議でもスムーズで納得しやすい決着が望めます。すでに揉めている場合でも、弁護士なら法的な視点から冷静に交渉対応できるため、トラブルが悪化することもないでしょう。
不動産の価値を正確に把握できる
不動産は現金と違い、時期によって資産価値が変動するものです。さらに不動産の価値の計算方法は多数あり、相続税路線価(相続税を計算する際に使用される道路の金額)を用いる方法や、固定資産税や公示価格(国土交通省の土地鑑定委員会が毎年公示する標準地の価格)を用いる方法など、状況に応じて使い分ける必要があります。
そのため評価額の把握には専門知識が必要ですが、弁護士ならそれらの知識・経験が豊富なため適切な対応・アドバイスが可能です。また弁護士は相続税が発生するかどうかの判断もできます。
相続登記手続き
不動産の相続が決まると、続けて相続登記という名義変更手続きを行います。相続登記は義務ではないものの、相続後の所有に関するトラブルを防止する効果があるので、行うことをお勧めします。
相続登記にあたっては、主に登記申請書・戸籍謄本・住民票・印鑑証明書などが必要になります。