寄与分

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寄与分、こんなお悩みはありませんか?

亡父の介護をしていた私、寄与分を認めてほしい
亡父の介護をしていた私、寄与分を認めてほしい

お悩み:「父が亡くなり、兄・私・弟の3人で遺産分割協議を行いました。私は6年にわたり父と同居し最後まで介護したので、『父の介護をしてきた寄与分を認めてほしい』と提案したのですが、兄と弟に反発され物別れに終わりました。別居してほとんど父の面倒を見なかった兄と弟より多くもらうのは当然の権利だと思うのですが…」

寄与分とは

寄与分とは、相続人や親族の中に、亡くなった方の財産の維持又は増加について特別の貢献をした人がいる場合、他の相続人との公平を図るために、その増加をさせた相続人等に対して、相続分以上の財産を取得させる制度です。

具体的には、親の家業に従事して親の財産を増やした人、寝たりきり状態の親を自宅で介護をして親の財産の減少を防いだなど、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をしたと評価できる場合に「寄与分」として、貢献した方の相続する財産を増やすことができます。

寄与分が認められる要件

要件1:共同相続人であること

民法では寄与分を受ける資格がある者(寄与分権者)について、原則として「相続人」と規定しています(904条の2第1項)。

要件2:被相続人の相続財産が維持・増加していること

相続人の寄与により財産の減少が防止されたり、財産が増加したりした場合には、寄与がなかった場合と比較して財産的に利益がある部分を寄与分算定の基礎とします。

要件3:特別寄与であること

寄与分として認められる貢献は通常のものではなく「特別」でなければなりません。つまり貢献度が非常に高い行為でないと特別の寄与は認められません。特別の寄与であるかどうかは、原則相続人間での話し合いで決めることになります。相続人間での話し合いで決められない場合は、「遺産分割調停」や「遺産分割審判」などの場で話し合って決めることになります。

要件4:寄与と被相続人の相続財産の維持・増加に因果関係があること

寄与行為とみられる行為があったとしても、その行為と実際の財産の維持・増加との間に因果関係がなければ、寄与分は認められません。

寄与分が認められる行為

行為1:家業への従事

被相続人の事業を無償、あるいは非常に少ない給与で手伝う行為

例:被相続人が経営する飲食店で、相続人である娘が数年にわたり無給で働いた。

行為2: 金銭の出資

被相続人に対して資金を提供する行為

例:被相続人が住宅や自家用車を購入する際に、相続人である息子が費用を提供した。

行為3:被相続人の扶養

被相続人の生活費を負担し、被相続人の出費を防ぐ行為

例:被相続人が体調を崩して働けなくなった期間、相続人である娘が被相続人の生活費を負担した。

行為4:被相続人の介護・看護

介護・看護が必要な被相続人の日常の面倒をみる行為

例:骨折から寝たきりになった被相続人に対し、数年にわたり同居して24時間介護を行った。

行為5:被相続人の財産管理

被相続人の財産を管理することで、相続財産を維持・増加させる行為

例:被相続人が家賃収入を得ている不動産の管理を行った。

寄与分を認めてもらうために必要な証拠

証拠1:家業に従事した記録

・タイムカードなど、勤怠状況がわかるもの(タイムカードがない場合)

・職場の近所の方の証言

・取引先とのメールのやり取り など

証拠2:被相続人が必要としていた介護の程度がわかるもの

・診断書

・カルテ

・介護認定に関する書類

・介護ヘルパーの利用明細

・ヘルパーとの連絡ノート

証拠3:介護した1日あたりの時間、期間、介護内容などがわかるもの

・介護の内容などを記録した日記

・介護のために仕事を休んだ記録(欠勤控除が記載された給与明細、シフト変更や休日出勤の記録など)

証拠4:預貯金の通帳

・金銭を提供した日時、相手、金額などがわかる預貯金通帳のコピー

・キャッシュカードの使用履歴

寄与分が決定するまでの流れ

Step1:遺産分割協議で寄与分を決める

寄与分を認めてもらいたい場合は、遺産分割協議にて「常識の範囲内で寄与分だと認められる行為をしたから多く遺産を相続したい」と主張しましょう。遺産分割協議は寄与分の主張が通りやすく、最も寄与分が認められやすいためです。

Step2:遺産分割協議で決まらない場合、遺産分割調停を行う

遺産分割協議で話がまとまらず、遺産の相続配分が決まらなかった場合は「遺産分割調停」を申し立て、相続分を決めることになります。

遺産分割調停とは、遺産分割協議で相続分が決まらなかった場合に行う相続分を決める話し合いです。遺産分割調停は遺産分割協議と異なり、相続人同士ではなく第三者と話し合いをします。

遺産分割調停で話し合いがまとまれば、遺産分割調停で合意した内容がまとめられた文章である「調停証書」が作成されます。調停証書は法的効力があるため、仮に相続人が調停証書に記載のある内容に従わなかった場合、法律に基づいて遺産を差し押さえて遺産相続をすることができます。

Step3:遺産分割調停で決まらない場合、遺産分割審判を行う

遺産分割調停でも話がまとまらない場合は、自動的に「遺産分割審判」に移行します。遺産分割審判は「裁判」であるため、法的な根拠を元に主張をすることが求められ、相続分も法律に基づいたものとなります。そのため寄与分の主張が難しくなり、認められづらくなりがちです。

ですから寄与分が最も認められやすい「遺産分割協議」で他の相続人から寄与分の合意を得ることをお勧めします。

遺産分割審判で審判が下ると、遺産の分割方法が記載された「審判書」が発行されます。もし相続人が遺産分割審判の内容に従わない場合は、法律に基づいて強制的に遺産を差し押さえて遺産相続することが可能です。

寄与分を弁護士に依頼するメリット

法律的に正しい主張・立証が可能
法律的に正しい主張・立証が可能

弁護士は専門的な知識や経験に基づいて寄与分を適切に考慮した遺産分割方法を考え、寄与分を立証するための証拠集めもサポートします。弁護士に依頼することで法律的にきちんとした主張・立証ができるようになるので、調停や審判を有利に進められる可能性が高まります。

特に審判は訴訟に近い手続きなので、さらに法律的にしっかりした主張・立証が求められます。審判に移行した場合は弁護士に依頼することが必須といえるでしょう。

調停や審判手続きなどの代行ができる

調停になると家庭裁判所にたびたび足を運ぶ必要がある上に、裁判所に提出する書面や資料の準備もしなければなりません。調停は平日に行われることから、仕事が忙しくて行けない方もいらっしゃるでしょう。弁護士はそういった調停や審判手続きなどの代行ができるため、手間が大幅に減ります。

心理的な支えにもなる

弁護士に依頼すれば、調停などに関わるストレスが大幅に減ります。依頼人の見方として助言する味方がいることは、大きな心理的支えにもなるはずです。

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